参考資料 ― 高校の先生へ / 2026年4月
ChatGPT・Copilot の次に
知っておきたい Claude
ChatGPT や Copilot をすでに使っている先生向けに、
Claude とはどういうツールか、何が違うのかをまとめました。
この資料について
売り込みではありません。Claude、Claude Cowork、Claude Code の3つについて、
教育現場での使い道・事例・注意点を調べてまとめたものです。
興味があれば試してみてください、という位置づけです。
2026年4月 作成
01
ChatGPT・Copilot との違い
一言で言うと、ChatGPT が「広くて速い」のに対して Claude は「深くて丁寧」という評価が多いです。特に長文の文書を作るとき、指示の細かいニュアンスを維持し続ける精度が違う、という声がよく出ます。
| ChatGPT(OpenAI) | Claude(Anthropic) |
| 長文対応 | 長くなると指示がブレやすい | 長文でも文脈を維持しやすい |
| 倫理設計 | 標準的 | 「Constitutional AI」で慎重設計 |
| 教育現場の評価 | 汎用的に広く使われている | 文書作成・教育的説明で特に評価が高い |
| ローカルファイル操作 | 基本的には貼り付け作業が必要 | Cowork で PC 内ファイルを直接操作できる |
どちらかに統一する必要はなく、使い分けで十分です。Claude が特に強いのは「PC 内のファイルを直接 AI に操作させる」場面と、「日本語で話しかけるだけでアプリやツールを作れる」場面です。
ChatGPT・Copilot にはない Claude 独自の強み
- ローカルファイルを直接操作できる(Cowork) ― ChatGPT や Copilot はブラウザ上での貼り付け作業が前提。Claude Cowork は PC 内のフォルダ・Word ファイルに AI が直接アクセスして読み書きします。往復作業がなくなります。
- 日本語でアプリが作れる(Claude Code) ― 「こんなツールがあったら便利」を日本語で伝えるだけで、動くものが出来上がります。Chrome 拡張・HTML 教材・集計ツールなど。コードを書く必要はありません。
- 長い文書でも指示がブレない ― 保護者向け文書・年間指導計画など、長くなるほど ChatGPT との差が出やすいと言われています。文脈を維持したまま最後まで書き続けます。
- 倫理・安全設計が慎重 ― 「Constitutional AI」という設計思想のもと、不適切な出力を自動で抑制します。生徒が使う場面でも安心しやすい設計です。
- この資料自体が Claude の出力 ― 今見ているこの HTML ファイルのデザイン・構成・テキスト、すべて Claude との対話で作っています。
02
Claude には3段階の使い方がある
進め方の目安
今日:チャットで教材のたたき台を作る → 今週:Cowork でフォルダを整理する → 来月以降:Claude Code で成績データを自動集計する
03
Cowork ― 「ファイルを渡すだけ」が実現する
Cowork の核心
ChatGPT や他の AI との最大の違いがここにあります。
これまでは「AI に内容をコピペして → 結果をコピペして → Word に貼る」という往復作業が必要でした。
Cowork はその往復をなくします。フォルダを渡せば、AI が PC 内のファイルを直接読んで・直接書いて・直接保存します。
プログラミングは一切不要。日本語で話しかけるだけです。
2026年4月10日に正式リリース(GA)。Pro プラン以上で使えます。
学校でどう使えるか ― 具体例
保護者向け文書の量産
過去の保護者文書が入ったフォルダを渡して「よく使うパターンを分類してテンプレート集を作って」と指示する。
9パターンのひな型が自動で Word ファイルに出力された事例があります。
さらに年間行事 Excel を渡して「行事ごとに通知文を作って」と指示すると、
時候の挨拶まで入った 17 文書入り Word ファイルが1操作で完成します。
職員会議の録音 → 議事録
文字起こしテキストをフォルダに入れて渡すだけで、
「決定事項」と「アクションアイテム(誰が・いつまでに)」を構造化して出力します。
30分かかっていた議事録整理が 5分になった事例があります。
週報作成を週 2時間 → 0時間(全自動)にした教務主任の事例もあります。
試験結果の分析
クラス別 CSV を渡して「クラスごとの平均・標準偏差・得点分布グラフを PNG で保存して」と指示すると数分で完成します。
「全クラスで正答率50%を下回っている設問を抽出して、指導上の示唆も添えてレポートを作って」まで一気に処理できます。
※ 氏名列は事前に「生徒番号」に置き換えておく(個人情報の匿名化は使う側の責任です)
引き継ぎ資料・ナレッジ共有
ベテラン教員の過去 5年分の指導案・行事記録・対応メモをフォルダごと渡して
「後任者が困らない引き継ぎ書を作って」と指示する。数日かかっていた作業が数時間になります。
指導ノウハウをプロンプトテンプレート化しておけば、若手教員が同じ品質で再現できます。
ファイル整理・重複検出
長年蓄積した書類をフォルダごと渡すと、ファイル名ではなく内容で自動分類します。
「これとこれはほぼ同内容」と重複ファイルを自動検出・統合することも可能です。
セットアップ(5分で完了)
1
claude.com/download から Desktop アプリをインストール
2
Pro 以上のアカウントでサインイン
無料プランでは Cowork は使えません
3
「Cowork」タブをクリック → テスト用フォルダを指定
最初は機密情報を含まない練習フォルダで試すのがおすすめです
4
日本語で指示するだけ
「このフォルダの Word ファイルを全部読んで要約して」と入力すれば動きます
CLAUDE.md で毎回の指示を省略できる(慣れてきたら)
フォルダ内に「CLAUDE.md」というルールファイルを置いておくと、毎回の指示を最小化できます。
「個人情報を出力に含めない」「文書は敬体で統一」「生成ファイルは output フォルダに保存」などを一度書いておけば、
以降は「月次通信を作って」の一言だけで同じ品質の文書が出てきます。
04
チャット ― まず今日から使えること
Cowork より先に、チャット単体でも十分に使えます。ChatGPT と同じ感覚で始められます。
授業準備・教材づくり
- 「明日の日本史、江戸時代について討論テーマを5つ出して」→ 即生成
- ワークシート・小テスト・問題集のたたき台(英作文例文集、単元別まとめシートなど)
- 同じ単元で「難易度違いの問題を5パターン」を一括生成
- ルーブリック(評価基準)の作成・生徒レポートへの個別フィードバック文
保護者向け文書・学級通信
- 保護者向けお知らせ・学級通信の下書き:60分 → 10分が目安
- 欠席連絡・家庭訪問案内・感染症対応通知など用途別に生成
- 「もう少し丁寧な言い回しで」「保護者が不安にならないトーンで」と自然言語で微調整
生徒の学習補助(Learning Mode)
- Claude for Education の「ラーニングモード」では AI が答えを教えず「問いを深める質問」を返す
- 探究学習・志望理由書・小論文の壁打ち相手として使える
- 「リンカーンとして答えてください」など歴史ロールプレイインタビューも可能
05
Claude Code ― 日本語で話しかけるだけでアプリが作れる
Claude のデスクトップアプリに、作りたいものを日本語で伝えるだけです。Claude がコードを書いて、そのまま動くものが出来上がります。プログラミングの知識は一切不要です。
実例
「ブックマークをすっきり表示する Chrome 拡張を作って」と伝えたら、
50秒で動く Chrome 拡張が完成しました。
下の画像がその出力結果です。コードは一行も書いていません。
▲ 「ブックマークをすっきり表示する Chrome 拡張を作って」→ 50秒で完成した実際の画面
この資料自体も Claude が作っています
今見ているこの HTML ファイルも、Claude に指示して生成したものです。デザイン・構成・テキスト、すべて Claude との対話で作っています。
高校での具体的な用途
- 成績 CSV をクラス別に整理・グラフ化(平均・標準偏差・得点分布を PNG 保存)
- 正答率50%以下の設問を全クラス横断で抽出 → 指導上の示唆を添えた HTML レポートを自動生成
- 授業数・担当教員・教室の制約をテキストで列挙 → 時間割のパターンを3案提示・重複も自動チェック
- 生徒向けのインタラクティブ HTML 教材を自動生成(難易度・語彙・練習内容を指定するだけ)
- 学校の業務に特化した小さなツール・フォームを、日本語で依頼して作れる
06
時間削減の参考数値
教員・教育現場からの報告をまとめたものです。
| 業務 | 従来 | AI活用後 | ツール | 削減率 |
| 年間指導計画作成 | 40〜60時間 | 約2時間 | Code+Cowork | 95%以上 |
| 週報作成 | 週2時間 | 0時間(全自動) | Cowork | 100% |
| 時間割作成 | 数日 | 数時間 | Claude Code | 約80% |
| 全般事務作業 | 210分/日 | 45分/日 | Claude Code | 79% |
| テスト問題作成 | 90分 | 15分 | チャット | 83% |
| 保護者メール文面 | 20分 | 3分 | チャット | 85% |
| 保護者向け文書作成 | 60分/枚 | 10分/枚 | Cowork | 83% |
| 会議議事録の要点整理 | 30分 | 5分 | Cowork | 83% |
| 英語採点(学期1回) | 12時間 | 4時間 | Claude+採点 | 66% |
| 行事通知文(年間一括) | 数時間 | 1回の操作 | Cowork | ― |
07
個人情報・セキュリティ
基本的な安全性
- 通信はすべて TLS 1.2/1.3 で暗号化、保存データも AES-256 で保護
- SOC2 Type 2 認証取得済み(第三者機関による監査済み)
- 「Constitutional AI」により個人情報の不適切処理が自動制限
プランと学習データの扱い
| プラン | 月額目安 | 学習利用 | 用途 |
| 無料プラン | 無料 | デフォルト ON(設定で OFF 可) | 個人での試用 |
| Pro プラン | $20/人 | 設定で OFF 可 | 個人教員向け |
| Team プラン | $25/人 | デフォルト OFF | 学校導入向け ◎ |
| Enterprise | 要見積もり | 契約上完全除外 | 教育委員会向け ◎ |
使う上で守るべきこと
- 生徒名は「生徒A」、学校名は「勤務校」のように置き換えてから入力する
- 成績・家庭環境などの機密情報は入力しない。骨格だけ作らせれば十分
- 出力は必ず自分で確認する「下書き」として使う(AI の誤りに最終的に気づくのは人間)
- ブラウザ版は設定から会話履歴を定期削除できる
08
生徒への活用とガイドライン
文部科学省ガイドライン(2024年12月 Ver.2.0)の基本方針
「一律禁止でも一律推進でもない。学校の実態に応じた柔軟な判断を」。
AI は生徒の能力を拡張するツール。思考・判断の主体は常に人間。
Claude の利用年齢制限は13歳以上(高校生は対象内)。
| 場面 | 判断 | 理由 |
| 調べ学習の出発点として使う | ✅ OK | 自分で確認・深掘りが前提 |
| ディベート練習の反対意見を出させる | ✅ OK | 思考力強化につながる |
| 英作文の添削・改善案をもらう | ✅ OK | 最終判断は自分 |
| 読書感想文を AI に書かせて提出 | ❌ NG | 独創性・感性の育成を阻害 |
| テスト・入試直前の答案作成を依頼 | ❌ NG | 学習評価の本質を損なう |
| 課題の回答をそのまま提出 | ❌ NG | 不正行為扱い・学力形成を阻害 |
東京都の先行事例
2025年5月より全都立256校・14万人に生成 AI「都立 AI」を導入(東京都教育委員会公式発表)公式確認済み。
有害ワードの自動ブロック、入力内容が AI の学習データに使われない設計、教員がカスタマイズできる「AI メニュー」機能を実装。
教科別指導案(国語・英語・歴史・探究など20種類以上)が無料で公開されています。
世界での利用状況
MagicSchoolAnthropic 公式発表
Claude をベースにした教育プラットフォームで、世界13,000校以上・700万人以上の教育者が利用。
スパイラル復習問題・自動採点ルーブリック・探究型学習支援など 60種類以上の教育専用ツールを提供しています。
「Claude は他の AI と比べて説明が分かりやすく、高圧的な態度がない。生徒に本当に寄り添おうとする姿勢が違う」
Reddit r/ClaudeAI ― 海外教員コミュニティでの投稿より意訳・参考紹介
09
段階的な始め方
| 時期 | ツール | やること |
| 今日から | Claude チャット | 教材のたたき台・保護者文書の下書き |
| 今週から | Claude Desktop + Cowork | 既存フォルダのテンプレート化・年間行事通知文の一括生成 |
| 来月から | CLAUDE.md + スキル化 | 繰り返し業務をルール定義 → 一言で再現できる状態へ |
| 学期単位 | Claude Code 連携 | 時間割・成績データ分析・スプレッドシートツールの自動生成 |
Cowork は「フォルダを渡してお願いする」という感覚で使えるので、プログラミングの経験がなくても動かせます。
まずチャットで感覚をつかんでから、Cowork に移行するのが無理のない流れです。